■ カクヨムコン上位作品を観察してみる。その続き
前回に続いて、第七回カクヨムWeb小説コンテスト(カクヨムコン7)の読者選考でランキング上位になっている作品がどんなものなのか、観察をしてみたいと思います。
果たして自分もそんな作品を書いて、上位入賞を狙えるか? ……みたいな野望はほぼありません。こういうのが書けるとも、書こうとも思わないのが、マイナージャンル書き手です。しかし、野次馬的に観察するだけなら、なかなか面白いのではないかと考えました。
観察記(1)では、1位と2位が同じ書き手さん(書籍化作家さん)で、それぞれ現代ファンタジーと異世界ファンタジー、3位はWeb小説の王道とも言える異世界転生もので、そして三作とも未完成である、というところまで観察しました(いずれも2022年2月10日時点の順位です)。
■ ランキング4位以降の作品を観察してみると
第4位はやはり異世界転生もの、「兄と妹」「悪役令嬢」という人気キーワードもちゃんと入ってます。
まあ、実はこの「悪役令嬢」なるものがどういう存在なのか、門外漢なのでいまいちわかってないんですが。(主役である「聖女」と対立する存在、らしいのだが、その「聖女」が分からない。「SPTレイズナー」に出てくる「クスコの聖女」=実は主役であるエイジの姉、くらいしか知らない)
ざっくり見てると、どうも「悪役であることから逃れる、助ける」的なプロットが使われている作品が多いみたいな印象もあるのですが、どうなんでしょう。正邪逆転の面白さ、とでもいうのか。
ちなみにこの4位ももちろん未完です。
第5位は現代ファンタジー。大勢の美少女が、能力の無いはずの主人公の周りに次々集まって来る、というのはこれも大人気の展開でしょう。
それがなぜなのか、というところがキーなのかなと思いますが、モンスターやらと戦ううちに、「モブ」が「無双」する理由は明らかになるのでしょう。ちゃんと妹も出て来るようで、押さえるべきところは押さえきっていますね。
ちなみにこの作品、お★さま五桁です。いやすごい。もちろん未完です。
ここまで5作品、当然というか全部ファンタジーです。Web小説で勝負したければ、絶対にファンタジーで勝負すべきだと、改めて断言しておきましょう。
■ もうちょっと観察してみましょう、6位以降へ
それでは、第6位。これも異世界転生ものですが、武者修行中の侍が異世界へ転生するという、ちょっと凝った趣向の作品です。トラックに撥ねられるわけにも行かないので、どうするのかと思ってパラパラと読んでみましたが、もうとにかく異世界にいるのだ、というところから始まる展開のようです。
ファンタジー的設定について知識がなく、剣と言っても日本刀で勝負するというところには、ちょっと興味を惹かれますね。
もちろん未完、★4桁です。
そろそろ疲れて来ましたが、続いて第7位。やはり異世界ファンタジーです。転生ではなく、召喚ものです(この辺りの違いは分かるようになりました)。
異世界の王宮から追放されたため、人嫌いになって、他人と関わらないために戦うというのは、共感を感じる読者層もいるだろうなと感じました。
■ どこまで行ってもファンタジーの王国
以下、10位まで全てファンタジーです。現代ファンタジーと異世界ファンタジーが混ざってますが、正直この両ジャンルがどう違うのか、僕にはもはや良く分からんです。
11位でついに「ラブコメ」が登場しますが、結局は転生先の世界で美人令嬢と色々あってということのようで、やっぱり転生の一つもしないとカクヨムコンで勝ち残ることは出来ないのでした。
この作品、★9000超えです。カクヨムの「ラブコメ」というとイコールエロ小説に近い状況なのですが、この作品などは読者レビューを拝見する限りはまだちゃんとラブコメをしてるようで好感が持てます。
ちなみに、そこからはひたすらファンタジーが続き、21位にまで進んで初めて「SF」が出てきます。
今やカクヨムの「SF」も、ゲーム世界の話ばかりだったりするわけですが、この作品も同様にゲーム世界の話、と見せておいてどうも色々ひねってあるようです。
お★さまは四桁に届いてませんが、非ファンタジーでここまで人気を獲得できているというのはなかなかのもので、参考になるかもしれないなと思いました。
こちらも、わざわざ人気が出ないことを目的に書いているわけではないので、一応は。
というわけで、観察記はこの辺までにして、次は短編賞のほうも少し眺めてみようかと思います。では、また次回で。
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