■ カクヨムコン上位作品を観察してみる、今回は短編賞
前二回、先日読者選考期間が終了したばかりの第七回カクヨムWeb小説コンテスト(カクヨムコン7)の読者選考でランキング上位になっている作品がどんなものなのか、そんな高評価とは無縁のマイナージャンル一般小説書きとして、野次馬的に観察記を書いてみました。
得られた結論は、「上位になりたければ異世界ファンタジー書け」という面白くも何ともない当たり前のものではありましたが、やはりそれぞれの作品に何らかの工夫が見られるのは確かなようでした。
何の特徴もなく、単にテンプレ通りというだけで上位になるのは無理、というのは当たり前の話でしょうね。
で、今回は短編賞のランキング上位作品がどんなものか、こちらも前回同様まずは第三位くらいまで観察してみることにしました。
短編賞は、あくまでコミカライズの原作を選ぶ、というのが主目的のものなので、もしかしたら、こちらは全然人気の傾向が違うとか、超意外な結論が得られる可能性もあるかも知れませんYO!(と全く心にもないことを言ってみる)。
■ まずはランキング第1位の作品を観察
長編賞のほうと同じく、読者投票1位から3位までの作品を観察してみましょう。
まず第1位は、ラブコメ。とはいっても、やはりあくまで異世界転生もののラブコメです。ファンタジー要素必須の原則は、こちらでも変わらないようです。
で、ここでいきなり問題が出てきたわけですが、この作品、現時点で6万字以上あります。短編賞の条件は「1万字以内」です。つまり、応募資格がないということになります。
まあ、どの時点で1万字ならいいのかという問題もあるので、今後5万字以上をばっさりと削るご覚悟で作品を書いておられるのかも知れませんが。
現実問題として、カクヨムの各賞は単にランキング上位で目立つことで作品を宣伝するため、頭からレギュレーションを守る気もないような人が応募しているというケースがあまりに多いのですよね(この作品がそうだとは全く言ってませんので念のため)
、
まあ、どうせ通りはしないだろうと思いつつ、少しでも読まれるきっかけになればと応募している僕らも同じようなものと言われればそうかも知れませんが、どうもねえ……。うーん。
■ 続いて、ランキング2位と3位、ここでようやく真の1位が。
第2位もラブコメ。短編賞はラブコメが強いのでしょうか。こちらは、学校一の美少女とか幼馴染とかが出てくる、Web小説の世界では正統派とでもいうべきラブコメです。
ところが、これも5万字を超えている。
ならば第3位、驚いたことにジャンルは「エッセイ・ノンフィクション」です。★は150ほどと、我々から見ても全く手の届かない位置にいるというわけではない作品です。
同人イベントに参加したいママたちのために託児所を作って運営した、という興味深い内容で、長さもバッチリ9988文字。レギュレーション通りです。
実質、これは1位だと言って良いでしょう。短編賞ではコミックエッセイ作品の選出を目指すとあるので、この作品が選ばれる可能性は高そうです。
■ 3位まで見たけれど、もうちょっと下の順位まで観察してみる
第3位まで観察したものの、実質1作品しかレギュレーションを通過していない状況だったので、もう少しランキングを眺めて見ます。
続く第4位。良かった、ちゃんと8000字以内に収まっている。ジャンルは異世界ファンタジーですが、井の中の蛙が外の世界に出て活躍する、というところから始まる内容は、よくあるファンタジーとは一味違い、なかなか興味深いです。
ちょっと、西遊記を思わせるような箇所もあり、個人的には割と好感が持てました。
そして第5位。ジャンルはラブコメで、1万字以内でちゃんと完結しています。良かった(どういう安心の仕方だ)。
学校の隣の席に美人で無愛想な超お嬢様がいて、というツンデレーション設定はやはりWeb小説の王道と思われますが、主人公(当然、一見何の取り柄もない)が自分で作ってきたお弁当に異常に関心を示し、その味をほめちぎるというのはなかなか面白そうな設定で、これもさすがと思いました。
ここまで読んでみた限り、どうもカクヨムコンって短編賞のほうがレベル高くない? という感想を抱くに至りました。ジャンルも自由だし。
あくまで感想なので、間違ってたらごめんなさいと土下座する準備はあります。
(追記)
エントリーしていた拙作「幸せになった犬のおはなし」も途中選考通過することができました。ランキング的には、ジャンル別(現代ドラマ)で7位まで行ったのが最高で、総合では70位台くらいだったかと思います。
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