本当に誰も作品を読んでくれない時に ~「カクヨム」挑戦記(2)~

WEB小説エッセイ

順調だったのはほんとうの最初だけ

 というわけで、カクヨム挑戦記の続きです。
 前回書いた通り、新規参入で長編をいきなり連載してもまず読んでもらえないだろうと考えた僕は、まず数枚(2000~3000文字)くらいの掌編から連載を始めることにしたのでした。
 それだけなら他にも同じことをやる人もいるだろうと思います。
しかし、僕が書き始めたのは、「世界最後の巨大都市とその周辺の地方を舞台にした、ポストアポカリプス系のレトロフューチャーSF」の掌編を連作形式で何話も書くという、他ではあまり見かけたことの無い形式の作品でした。

 これも前回触れたとおり、先行テスト的に投稿してみたレトロフューチャー系SFの掌編は、自分としては予想を超えた好評で(そもそも★がいただけるところまで行かないだろうと思っていた)、ここで全く不評なら、「メトロポリタン・ストーリーズ」という作品が生まれることはなかったでしょう。

 さて、第一話として投稿した「過去への帰郷」はまずまず好評で、連載第一話ということで★はまだつかなかったものの、いくつもの♥(応援)や、ツイッターで褒めて下さった方もおられたりして、やはり行けそうだと思いました。

 しかし、好調だったのはここまででした。第2話、第3話と続けるうちに、PVがどんどん落ち込んで行きました。
 話の出来としては悪くないはずで、正直焦りました。当時の僕はまだ、「カクヨム」のシステムが良く分かっていなかったのです。

なぜ第2話以降が読まれなくなっていくのか。

「カクヨム」における連載作品の各話PVを見ると、それはもうすごい勢いで落ち込んでいくのをしばしば目にします。たった数話でPVゼロとなり、それでも連載を続けている作家さんの心中は察するに余りありますが、僕もまた同じような状態に陥ったのでした。

「カクヨム」には、自分をフォローして下さっている利用者さんへの通知が届く機能がありますが、その通知は全くの新作を投稿した、その最初の時に限られます。
 連載作品の場合で、新エピソード投稿のお知らせが行くのは「その連載作品をフォローしている人」だけで、しかも最新話を読み終えている場合に限られます。

 つまり、新エピソードをいくら投稿しても、単なるフォロワーさんや、その作品のフォロワーさんでも常に最新話を追いかけて下さっている人にしか、通知は行かないわけです。第1話だけを読んでくれた方にも、第3話、第4話と更新が続いていることは分からないのです。

常連の読者さんを獲得するのもまた難しい

「毎日の連載が重要」などとよく言われるのは、確実に毎日連載している作品なら、通知などなくても最新話を読みに来るのを習慣化にしてもらえる可能性が高いからだろうと思います。
 僕の場合は、週一回の連載としていましたが、「書けた時点でランダムに投稿する」よりはましだとしても、結局常連の読者さんが付くところまでたどり着けなかったのです。

 もしも★が付けば、注目の作品として表示されたり、ランキングに入ったりして、新規の読者さんの流入が期待できるので、ゆっくりながらも第二話以降のPVも増加していくと思われます。
 しかし、連載の場合は完結まで★が付かないことも多く、これは自分ではどうしようもありません。(これが逆に、完結後に読者が爆発的に増える「完結ブースト」という現象につながるのだと思います。もっとも、最後まで読んでくれる人が居なければこれも無理ですが)。

 無名の書き手が連載を始めるに当たっては、これはかなり厳しいシステムだと感じられました。

ついに陽の届かぬ深海の底、PVゼロの領域へ到達

 それでも、何人かの方は、投稿から少し遅れながらでも連載を読み続けて下さっていました。僕も、とにかく連載を我慢強く続けることこそ唯一の道だろうと思い、毎週の連載を続けていました。

 しかし、連載が8回目まで来たところで(現在の第8話ではありません)、ついに数日経ってもPV0のまま、という状況になりました。
 今考えれば、色々な偶然が重なっただけで、いずれは読まれたのだろうと思いますが、その時はとうとう、気力が折れました。

 その第8話を、削除してしまいました。誰も読んでいないのだから、文句の出ようもありません。

 作品の出来は、悪くないはずだ。やっぱり連載はまだ時期尚早だったのだ。その時はそう判断したのでした。それは、必ずしも間違った判断ではなかったように思います。
 そこで僕が取った行動は、作品の出来が悪いせいではない、ということを確認してみる、というものでした。

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