星を見つめながら歩き続ける砂漠の旅みたいに、ただ書く ~「カクヨム」挑戦記(3)~

WEB小説エッセイ

連載が全く読まれなくなってしまい、途方に暮れる

 前回の続きです。
 というわけで、スタート時は順調に思えた「メトロポリタン・ストーリーズ」、第8話の時点でついに投稿から数日経ってもPV0ということになってしまいました。
 今なら、SNSなどで宣伝しつつ、少し気長に構えて待つところです。実際、次作である「南方深部におけるゼロ・コーネル氏の仕事と冒険」でも似たような時期がありましたが、その時は無視して連載を続けました。

 しかし、初連載だった当時は本気で途方に暮れてしまい、話の内容がレベルダウンしていないかなどと読み返したりもしましたが、そもそもが書いた順番通りに投稿していたわけでもないので(第8話は、実際には第7話よりも先に書いたものだった。話のバリエーションを考えて、投稿の前後を調整しながら連載していたので)、マンネリ化とかネタ切れなどのはずもありません。

 これも今なら、「近況ノート」で「第8話まで連載が進みました」と宣伝するという手段もあるのですが、当時は「近況ノート」の新着を通知するという機能もまだなかったので、これでは手の打ちようがありません。連載が続いていることを、誰も知らないということになってしまいました。

 というわけで、前回書いた通り、第8話を一旦削除するという行動に出たのです。

投稿したことを誰も知らないから読まれない? ならば……

実は、メインの連載と並行して、時々短編の投稿も続けていました。
 自主企画に参加して、決められたお題通りの作品を書いたり(「最後の花火大会、君と見た夜」など)、そういうしばりのあるものを自作らしい個性が出るように工夫しながら書くというのも、面白いものです。
 そちらのほうは、まずまず読んでもらえていたし、お★さまもいただけていました。やはり、「カクヨム」の優れた点の一つである自主企画はできるだけ利用すべきで、積極的に参加すべきでしょう。

 参加者同士でつけた★がランキングに反映されない、という弱点もあるのですが、それでも★ゼロの作品と、いくつかでも★のついている作品とでは、他の人に読んでもらえる機会も違ってくるように思います。

 話が少し脱線しましたが、つまり全くの新規投稿なら、それなりに読んでいただけることは分かっていました。

 そこで、削除したその第8話を連載から一旦外し、加筆してちょっと長めの作品にしたうえで、「番外編1」として、単独作品として改めて投稿してみたのでした。
 これなら少なくとも、フォロワーさんたちに通知は行くはずでした。

「番外編」とするに当たって――あえて自主的ルールを破る

 実は、「メトロポリタン・ストーリーズ」を書くに当たっては自分で一つ縛りを設けていて、元原稿であるテキストエディタ上では原稿用紙ジャスト6枚=20字×120行ぴったりになるように書いていました。
 「カクヨム」は字数カウント表示なのでそんなことは誰にもわからないし、労多くして実り少ない縛りでした。

 そんなことをしたのは、このルールによって連作全体に共通のトーンが出るのではないかと考えてのことでしたが、これは実際うまく行ったと思います。各輪の長さに大きなばらつきが出ては、あのような端正な連載にはならなかったはずです。
 
 実際の投稿時は、画面での読みやすさなどに合わせて修正を加えるので、最終形としてはジャスト6枚とはなっていませんが、少なくとも書いている段階では50話全てそれで通しました。実は、結構大変だったのですが。

「番外編」とした旧第8話については、そのしばりを外して話に少し手を入れることにしました。
 それでちょっとだけ長めになったのですが、それが自分の中では「番外編」とした根拠、ということにしました。現実的には、他の連載各話と比べてそんなに特別な内容ではありませんが、ルールから外れた作品なので「番外編」と言ってもまあいいだろうと思うことにしました。
(先行の「支線の先のメトロポリス」も8枚程度なので、このルール外になっています)

単独作品ならやはり読まれる! これはシステム的な問題だと判明

 そういう手を打ったうえで、いよいよ単独の短編として投稿を行いました。
 結果は予想通り。第一作や自主企画参加作品ほどではなかったものの、ちゃんと読んでももらえたし、★もいただきました。皮肉なことに、その時点で連載のほうにいただいていた★の合計よりも、その番外編一話についた★の数のほうが多かったくらいでした(十数個程度ではありますが)。

 つまり、お話がつまらなかったわけではない、ということが立証されました。要するには、「カクヨム」側のシステムに問題がある、そう判断できたわけです。
 幸い、「番外編」を見に来て下さった人が、元々の連載分の未読エピソードも読んで下さったりもして、冷え切っていた連載のほうにも、わずかに賑わいが出たようでした。

 話の出来が悪いのでなければ、もう迷う必要はありません。そこからは、ひたすら毎日、続きのエピソードを書き始めました。
やはりPVはわずかなままで、砂漠を歩いているような気もしましたが、読んでさえもらえれば面白いはずという確信を、彼方に輝く夜空の星のように見つめながら、書き続けました。

 しかし、読んでもらうために打てる手は打つ。

 ただ、こちらも馬鹿ではないので、以前と少しやり方を変えました。
 最初から「番外編」向けとして、ちょっと趣向を変えたものを書いて、連載本編とは別に時々投稿することにしたのです。

 やはりこちらのほうがずっと反応は多く、毎回本編よりもいただく★が多いということになりましたが、おかげでランキングに入ったりもするので、このやり方はテコ入れになりました。

 と同時に、★の数にどれだけの意味があるのか、と考えるようにもなったのでしたが。少なくとも、長期連載と単発ものを比較することには、ほとんど意味はないと思います。
 メジャージャンル(つまり異世界系ファンタジー)の場合は、また別なのだろうとは思いますけれどね。

 ちなみに、後にそれらの「番外編」数話は、連載本編に改めて組み込みなおしました。特に長さを削ったりしたりはしなかったので、少し長めの数話がその「番外編」の名残ということになっています。

 なお、連載完結後も何度か、「番外編」に当たる単発の話を投稿しています(「ブライト・ライツ・セレナーデ」など)。こちらは、連載時の各話に比べるとかなり長いので、本編に組み込む予定はありません。

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