■ Web小説サイトにおける新人賞のおさらいと、カクヨムコン7通過のお知らせ
ここまでは、あくまでWeb小説サイトと、カクヨムコンのようなそのサイトで実施される新人賞がどのようなものについて触れてきました。 前回の記事で、拙作「ビエンナーレ」が第三次選考を通過したことについて触れた、「ステキブンゲイ大賞」もまた。その一つということになります。 ちなみに今回は「カクヨムコン7」のほうでも、エントリーしていた短編の「しあわせになった犬のおはなし」が、途中選考に通過することが出来ました。 複数エントリーしていた中の一作だけではありますが、カクヨムコン5以来三年連続で通過を果たすことが出来て、胸をなでおろしました。 前回は長編部門のほうにも、連作掌編集という異例な形の作品ながら通過できたのですが、今回はそもそもSF作品の応募先がなくなってしまいました。無理やり他ジャンルで出しましたが、読者選考期間中にほとんど新規で読まれなかったこともあって、駄目でした。 ますます特定のライトノベル向けの賞となっていて、途中通過しても一般小説が受賞する可能性は年々下がり続けているので、一般小説の書き手がまともに目指すなら意味のない賞になりつつあるというのが現状です(あくまでお祭りへの参加とか、宣伝のつもりでエントリーすべきですね)。
■ 今でもまだ、小説家デビューチャレンジの主戦場は「公募」
では、「一般小説」「一般文芸」の書き手が作品を世に出すとなると、選択肢はやはり出版社が主催する各種の「公募新人賞」ということになってきます(「ステキブンゲイ大賞」は別として)。 賞の数はとにかく多く、やろうと思えば毎月どこかの賞に応募することも可能です。まあ、それだけの数の作品を書ければ、ということにはなりますが。 例えば純文学であれば、「群像」「文学界」「文藝」などの文芸誌が主催する、歴史も長く、大作家を何人も輩出している賞を目指すことになります。この辺りの賞を取れれば、芥川賞も視野に入ります。 当然、超々激戦区で、ほぼ天才級の才能が無ければ取れるような賞ではありません。 僕も昔、それぞれに挑戦したことがありますが、当然というか一次にさえ通りませんでした。 もう少しエンタメ向け(中間小説=直木賞の領域)だと、「小説現代」「小説すばる」「オール讀物」の各新人賞辺りが老舗です。こちらも、有名作家を大量に出している名門で、当然激戦区です。
■ 「ラノベにも膨大な数の「公募新人賞」がある
ラノベの新人賞にも、公募のものはいくつもあります。ラノベブームを映して、その数はかなり膨大なもので、各レーベルが競い合うように新人賞を開催している状況です。 中にはWebサイトに連載中の作品と、未公開の作品のどちらもがエントリーできる賞もあります(「カクヨム」でもそのような賞を共催していました)。 ラノベ系新人賞の最高峰は「電撃大賞」でしょう。ラノベ作家を目指している人ならみんな応募経験があると思います。応募総数5000作弱、短編も応募可能ですがこちらはうち1000作くらいでしょうか。もはや、感覚がついて行かない数字です。 ちなみに「電撃大賞」には「大賞」以外に何種類かの賞があり、その中には「メディアワークス文庫賞」という、ラノベよりも少し一般寄りの作品向けの賞もあります。 この「電撃大賞」で、僕は短編で四次まで進んだことがあるのですが、ラノベではないのでこちらの対象としての通過だったと思います。 約1300作中、上位11作まで入って舞い上がりましたが、特にデビューなどにつながることはありませんでしたけどね。今回のステキブンゲイ大賞もそうですが、上位1%ではまだ不足な世界です。
■ 「公募勢」の孤独な闘い
このような、公募新人賞に挑み続けている作家志望者を「公募勢」とも呼びます。 文学系の新人賞は、Webサイト上に載せたことのある作品は失格とされているようなこともあり、場合によっては誰にも読んでもらったり感想をもらったりすることがないまま、応募することになります。 これは非常に孤独な挑戦になるわけですが、まあ昔はこれが当たり前でした。今のように、サイト投稿で感想をもらえるというのは、恵まれた時代になったと思います。 そういうわけで、実際にはWebと公募両方で、賞を目指して活動している人も多いようです。 ただ、一般小説系だと、Webでは応募先がかなり限られるので、新人賞を目指す作品についてはどうしても公募重視になりがちです。 僕も、作品内容によって扱いを分けていますが、失格にならないように、本気の作品はどこにも出せなかったりすることもあり、やはり孤独な戦いだなと思うことがあります。 「ステキブンゲイ」創設時にすぐに参加したのは、そういう思いもあってのことでした。 今後も、作品によってサイトを使い分けると思いますが、いよいよSF作品を排除しつつある「カクヨム」での活動を今後どうするかは、ちょっと考えなければならないでしょうね。 あまりハードな作品でなければ、設定をずらしてやれば、自作をファンタジーに書き変えるのも不可能ではないですが。サイエンス・ファンタジーという呼び方もあることですし。
本屋さんにあるような小説が無料で読める、ネット小説(Web小説)という世界があるのです、実は ――今さらながらの基本解説
コメント