一般文芸中心の小説投稿サイト、「ステキブンゲイ」って実際どうなの?(2)~ステキブンゲイ大賞について解説~

WEB小説エッセイ
 志の高さに期待の大きい「一般文芸」特化型投稿サイトだが

掲載作品の傾向。あくまで「一般文芸」であって「文学」ではない

 実際の所、「ステキブンゲイ」にはどのような作品が投稿されているのでしょうか。
こちらも「カクヨム」同様にランキングなどをざっと眺めてみると、まあ要するには書店で平積みされているような「普通のエンタメ小説」が多い、という印象です。
 
 ジャンルもミステリーから恋愛、コメディ、青春、SF、そしてファンタジーに至るまで、ほぼオールジャンルという感じです。

 つまり、あくまで「一般小説」のサイトであって、「文学」のサイトというわけではないのです。
 しかし、やはり純文学として投稿されている作品は比較的に多いし、前回書いた通り、僕も純文学寄りと思えるものを何作も投稿していたりします。

 文学寄りの作品を、「一般小説」向けのサイトで投稿するのは当たり前の話で、文学作品を読みたいならステキブンゲイ、という選択はありでしょう。相当にハイレベルな書き手さんもおられます。
(実は「カクヨム」にもそういう書き手さんは潜んでたりしますが)

 ちなみに、Web小説界の主流である「ライトノベル」と呼ばれる作品群については、実際のところはっきりとした定義があんまりわかりません。

 現実社会を舞台に書かれたものではなく、漫画やアニメの舞台・登場人物(特定の作品ではなく、「マンガ・アニメ風の世界」)を想定して書かれたものをラノベと呼ぶ、というのが実態に近いと思いますが、そもそも書かれた文章の描写からどんな「絵柄」を想像するかは読み手側寄りの問題とも言えるので、これも決め手に欠ける感じはあります。 

 Web小説における現実的には、描写などがほとんどなくて改行が多い、というのがラノベの文体ということになっている感じです。

ステキブンゲイに参加するなら 

 とにかく、実際にステキブンゲイで投稿活動をするとしたら、あまりにもアニメ・マンガっぽい背景設定のものは避けて、文章などのルールについても最低限理解できている状態で参加しないと、ほとんど意味がないということになりそうです。

 普通の小説というのをどう書くかは、ハードカバーで出版されているベストセラー小説をいくつか読んで勉強するしかないだろうとも思います。もっとも、元々そういう小説を好んで読む人でなければ、ステキブンゲイに参加しようとは思わないでしょうね。

 逆に、一般文芸を「カクヨム」などに投稿するのは駄目なのかというと、前々から書いてる通り、巨大サイトの軒下ということで利用者の絶対数が多く、結局は従来型のWeb小説サイトに投稿したほうが、たくさんの読者と感想を得られる可能性が高いです。この辺りも、「ステキブンゲイ」の立ち位置の難しい所です。

 僕の場合、読者がつかなくても何でもいいから、とにかく思うさま地味で文学寄り(と自分が思うもの)を書いて投稿したい、というときに「ステキブンゲイ」を利用していましたが、そのつもりで書いた「残暑の入江」がむしろ「カクヨム」で評価を得てしまったので、本当に難しいなと思いました。

「そもそもステキブンゲイとは、Web小説サイトとは何か」について論じた文章の投稿数がものすごく多く、しかも多く読まれていた(ランキング上位の多くをそれらの投稿を占めることもあった)というのも、このサイトに対する利用者の様々な想いを映しているように思います。

「ステキブンゲイ大賞」について (2023年8月追記・第3回でも3次通過しました)

第1回にエントリーしてみた結果はいまいち

 第1回~第3回のステキブンゲイ大賞に、短編・長編の両方で参加してみました(レギュレーション上、特に枚数の規定がないので、短編でも可となっていた)。

 最初の第1回は、短編数作でのエントリー。
 第2次選考を通った作品(「キャノンボール、海へ」)もありましたが、第1回は途中選考通過率が全体に非常に高く、2次通過くらいでは上位1割にも入れないという感じでした。
 1次通過が約1300作品のうち574作品、2次通過が259作品、3次通過がやっと110作品です。
 最終選考を入れて6次選考までありました。

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 その後詳しく分析した人がいて、短編での途中選考通過率は著しく低く、そもそも受賞の対象にならないのではないかということでした。
 まあ、そうなのかも知れないし、そうではないのかも知れません。それは中の人にしか分からないことです。
 というわけで、性懲りもなく、第2回のステキブンゲイ大賞にもまた短編でエントリーすることにしたのでした。

第2回で3次選考通過

 で、第2回には、地味な背景描写に徹底的に注力した「普通の小説」の短編(「ビエンナーレ」)をわざわざこの賞の期限に合わせて書いて、エントリーしてみました。ほとんど、純文学指向と言ってもよい作品です。

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 今書ける文章力の結晶だと思ってぶつけてみたのですが、これが3次通過で応募作約1000編のうち12作、最終候補一歩手前というところまで進むことができました。
 さすがにこんな高次まで進んだことは今まで1度しかなく、嬉しかったです。

 で、前述の分析との整合性はというと……3次通過まで進んだ12作中、わずか全8話しかなくて100枚を切るような短編は、確かに他にはなかったようです。
 通過率が低い、という分析はどうも正しいようです。
 最終候補まで行かなかったので、確かに今回は受賞の対象とはなりません。しかしこうなると、短編に受賞可能性がない、とまでは言えない気がしています。

 他にも、「彼女と彼らのクリスマス」という、こちらも青春物の短編も2次通過していました。
 第2回の2次通過は大体上位1割くらいなので、第1回よりは善戦した感じです。

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第3回も3次選考通過

 第3回には、今度は初めて長編も投稿してエントリーしてみました。
 その結果、第3回でも3次選考通過まで進むことができました。
 ただし、第2回は3次選考通過が12作とかなり絞り込まれていたのに対して、第3回では20作品通過、応募数も第2回の990作品から750作品へと少し減っているので、若干倍率は低かったかも知れません。
 
 第3回にエントリーした長編は、「南方深部における、ゼロ・コーネル氏の仕事と冒険」というレトロフューチャーSFもので、正直言って前回の短編とは全く作風が違います。
 こちらはランキングのほうでも割と好調で、連載期間中はSFジャンルで2~5位くらいをキープしていました。

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 ここまでジャンルが違っても通るということは、あまりカテゴリーエラーは気にしなくても良さそうだなとは思います。
 一般文芸、という枠さえ守れていればいいのではないか、と推測しています。
 なお、この作品はカクヨムコン7では1次さえ通っていないので、1次落ちの作品は駄目、というのは当てにならないことがよく分かります。

 ちなみに、第3回でももう1作、「星空を越える道」という短編が2次通過していました。
 こちらはちょっと幻想文学寄りにと思って書いたもの(「架空索道」という旧作の全面改稿)で、今まで投稿してきた作品に近いかなと思います。
 第3回の2次通過は55作品でしたので、こちらは第2回よりもちょっと倍率が厳しかった感じです。

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